わたしがオーストラリアに留学中、他の留学生と一緒によく話していた話題があります。
それは、自国の代表料理についてです。
食べ物の話題はお互いの国を紹介しやすかったり、共感を生みやすいのでよく話に上りました。
そんなとき、オーストラリアのオリジナル料理って何だろう?という話題になり
わたしたちは
「オージービーフじゃない?」
「ミートパイかな?」
結局、答えは見つけられませんでした。
のちに今のオーストラリア人パートナーと彼のご両親、兄妹で集まっているとき、「オーストラリア料理って何だろう?」という話題になりました。
パートナーの義理の弟は元料理人だったそうで、パートナーは弟さんに尋ねました。
パートナー
「オーストラリア料理って何だろう?」
弟さん
「・・・」
しばらく考え込んだあと
「ダンパー(Damper)じゃない?」
わたし
「・・・(ダンパーって何だろう)」
その後、パートナーと弟さんであーだこーだと議論が続き
パートナーが導き出した答えは
「パブロバ(pavlova)」
でした。
そこで今回は、元料理人の弟さんとオーストラリア人パートナーが導き出した「オーストラリア料理とは?」の答え「ダンパー(Damper)」と「パブロバ(Pavlova)」についてご紹介したいと思います。
ダンパー Damper
ダンパーは、小麦粉、水、塩からできた生地をキャンプ・ファイヤーの後に残った熱い灰で焼いたパンのことです。
ビリーティーとともにオーストラリアのキャンプには欠かせない存在です。
ビリーティー(Billy Tea)
ビリーティーは、簡易な缶容器で沸かしたお湯にお茶の葉を豪快に入れ、ぐつぐつ煮立たせたお茶のことです。
※ ビリー(Billy)は穴に針金を通して取っ手をつけた缶です。
ダンパーはもともとブッシュで生活するスワッグマン達が作っていたといわれています。
ブッシュ(Bush)
ブッシュは、未開発の森林地帯、未開墾(かいこん)地、奥地のことです。
スワッグマン(Swagman)
スワッグマンは、仕事を求め各地を旅して回るオーストラリアの労働者のことです。
※ スワッグ(swag)は、身の回り品を包む袋、リュックサックです。
こちらはダンパーの作り方の動画です。
ワルチング・マチルダ Waltzing Matilda
パートナーにスワッグマンについて聞いたとき、この歌は知っているか?と聞かれました。
♫ワルチング・マチルダ(Waltzing Matilda)
「この歌は全オーストラリア人が知っている歌だよ!オーストラリアに住んでるならこの歌くらい知っておかないと!」
と興奮気味にYouTubeを見せられ熱く語られました。
そんなこと言われても、わたし日本生まれ日本育ちだから、、、と内心思いましたが、ありがたく勉強させていただきました。
ワルチング・マチルダはスワッグマンの事を歌っているオーストラリアを代表する歌の1つです。過去にオーストラリアの国家とする案が何度か上がったそうです。
〈歌詞の一部〉
ある日、陽気なスワッグマンが野宿をしていると、羊がやってきました。
彼は、羊がどこかの農場主のものだと知りながらも、飢えに耐えきれなくなり捕まえて食べてしまいます。
そして現れた警官に羊について問い詰められると、スワッグマンは
「You’ll never take ma alive. 生きて捕まるものか」
と言い放ち、沼に飛び込んで自殺するというストーリーです。
歌詞の内容は少し物悲しい雰囲気がありますが、ワルチング・マチルダはオーストラリアを象徴する歌として多くの機会で歌われています。
パートナーはこの歌は「オーストラリアの事実上の国歌(De facto national anthem)」だと言っていました。また、正式な国歌を歌えない人はたくさんいるけど、ワルチング・マチルダはみんな歌えるんだそうです。
こちらはワルチング・マチルダの動画です。
パブロバ Pavlova
パートナーがオーストラリア料理とは?の問いに導き出した答えは「パブロバ」でした。
パブロバは、オセアニア発祥のメレンゲのお菓子です。
実は発祥の地がオーストラリアとニュージーランドではっきりしていないため、「オセアニア発祥」としました。
オーストラリアではパーティが開かれたとき、特にバースデーパーティでこのお菓子を食べるそうです。
パブロバは、泡立てた卵白にグラニュー糖、コーンスターチ、塩、酢、バニラエッセンスなどを加えメレンゲにし、オーブンで焼きあげた生地の上に生クリームやフルーツをのせて作られます。
パブロバという名前は、ロシアのバレリーナ、アンナ・パブロバ(Anna Pavlova)から付けられました。
1920年代の世界ツアー中、アンナ・パブロバがオーストラリアとニュージーランド両国を訪れた際に、彼女の羽が生えたかのような軽やかな演技をイメージして記念につくられたお菓子だといわれています。
「世界一の朝食」と評されるスクランブルエッグやリコッタパンケーキでおなじみのビルズ(bills)が、パブロバをデザートに出したことで、日本でも知られるようになりました。
まとめ
オーストラリアのオリジナル料理とは?の答えが、ひとつはアウトドア料理のシンプルなパンでもうひとつはデザートという、なんともピンとこない答えでしたが、オーストラリア人がそういうなら、それでいいのだと思いました。
歴史的に、1788年、イギリスがニューサウスウエールズを囚人流刑のための植民地とすることを宣言してから白人文化が入り、およそ200年の歴史の中でオリジナル料理を見つけようとするのは、そもそも野暮なことだったのかもしれません。